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2024年01月09日

ミネルバ会計週報『試用期間に関する誤解』2024.01.09

「試用期間」は正しく運用されている?

社員入社後の「試用期間」を就業規則等に定めている会社も多いことでしょう。この「試用期間」について正しく運用されていますでしょうか。ここでもう一度労働法令における「試用期間」の考え方について確認をし、無用な労務トラブルを起こさないようにしましょう。

試用期間の法的な位置づけ

そもそも会社が試用期間を設ける理由は、設けた一定期間で、その者の能力や適性を評価し、期間満了時に「本採用に適している」という判定をして、確定的な採用(本採用)となり、逆に「適していない」と判定した場合には、本採用を拒否し退職してもらうことになります。労務トラブルはこの本採用を拒否した場合に多く起こります。
本採用拒否については、法律上、原則として会社は、自社にどのような人材を入社させるか自由に決めることができるという「採用の自由」があるとされています。そこで、本採用の諾否についても同じような自由があるとする見解がありますが、本採用の諾否については、別の判例で制限が設けられています。
判例では「試用期間」について、既に労働契約が成立し、会社はその解約権を試用期間満了まで留保している。としています。
つまり、一度労働契約は成立しているが、試用期間中に、自社には不適切な人材だという確固たる理由が生じた場合には、会社はその労働契約を解除(解約)することができるということになります。

本採用の諾否と解雇との関係

上記の文章を読んで「なあんだ」という感想をお持ちになった経営者の方もいるかもしれませんが注意して下さい。一度成立した労働契約を会社から解除するということは、本採用拒否は「解雇」と同じ意味を持つことになります。解雇については労働契約法16条で、その解雇に客観的で合理的な理由があり、かつ、その解雇が社会通念に照らしても相当であると認められる場合に限り有効となります。つまり、本採用拒否についても客観的合理的な理由があり、社会通念に照らして相当である必要があります。「試用期間が満了したからこれで契約終了」と一方的な解約は労務トラブルの原因になりますので注意して下さい。

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