2023年06月29日
源泉徴収事務の基本と注意点
給与計算や源泉徴収の実務は、毎月同じことの繰り返しに見えて、従業員数の増減や働き方の変化、制度改正によって、いつの間にか手続きが変わっていることがあります。
「今まで通りやっていたつもりなのに、実は届出が必要だった」
「納期の特例が使えなくなっていた」
こうしたご相談は、実務の現場で決して珍しくありません。
この記事では、源泉徴収事務に関して見落としやすい手続きや注意点を中心に、実務担当者の方が押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。
【前提】
「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納付の特例の承認に関する申請書」を提出している源泉徴収義務者
1.納期の特例が使えなくなる場合の注意点
給与や賞与から天引きした源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の事業所については、「納期の特例」を適用することで、源泉所得税を年2回(7月・1月)にまとめて納付することが認められています。
この納期の特例が使えなくなるケースとして、次のような場合があります。
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給与の支給人員が常時10人以上となった場合
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適用要件を満たさなくなったにもかかわらず、特例を継続している場合
この「常時10人以上」の判断は、一時的な繁忙期の増員ではなく、継続的な雇用実態を踏まえて判断されます。要件を満たさなくなった場合には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった旨の届出書」を提出し、原則どおり毎月納付へ切り替える必要があります。
2.給与の支給人員が0人の源泉徴収義務者となった場合
給与を支払う従業員がいなくなったりした場合には、「給与支払事務所等の廃止届出書」を提出することで所轄税務署への0円納付書の提出が不要となります。
再度従業員を雇用する際、所轄税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」や「源泉所得税の納付の特例の承認に関する申請書」の提出が必要となるため、廃止届出書の提出について検討が必要となります。
また、令和5年4月1日付で「源泉徴収票等の電子交付」について改正がありましたので共有させていただきます。源泉徴収票等の電子交付とは、源泉徴収票等について受給者等本人に書面交付するほか、受給者等の承諾を得ることで、電子交付することができる制度です。
電子交付を行うには事前の承諾手続が必要ですが、受給者等に対し「給与等の支払をする者が定める期限までにその承諾をしない旨の回答がないときはその承諾があったものとみなす」旨を通知し、その期限までに回答がなかったときは、承諾を得たものとみなす方法が加えられました。
判断に迷う場合や、自社の状況に当てはまるか分からない場合には、早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

