2021年03月04日
信用保証料の補助を受けたときの経理処理
信用保証料の補助と経理処理
こんにちは。経理代行東京スマイルを運営する、品川区五反田のミネルバ税理士法人です。
新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者への支援策として、民間金融機関から実質無利子、無担保で借り入れることのできる制度が作られました。
ただ、「実質」というところが、税務上どのような経理処理をすればよいのか、特に信用保証料について悩まれる方もいらっしゃるようです。
信用保証料の原則的な経理処理と、新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者への支援策の場合
信用保証料は、そもそもどのような経理処理をすべきものでしょうか。
実は、信用保証料だからといって決まった取扱いは規定されておらず、その実態に即して判断する必要があります。
具体的には、例えば繰上返済をした場合に、その信用保証料が返ってくるかどうか、で処理が変わります。
信用保証料が返ってくるのであれば前払費用となり、返ってこないのであれば税法上の繰延資産となります。
前払費用であれば、資産計上した信用保証料を時の経過に応じて費用勘定に振り替えることになります。
税法上の繰延資産であれば、5年(返済期間が5年より短い場合はその期間)で定額法により償却することになります。
なお、信用保証料は、融資実行時に金融機関に対する保証を承諾した時点で役務の提供が完了しているとして、全額を損金算入するという考え方もあるかもしれませんが、過去の国税不服審判所の採決で、そのような考え方は否定されているので注意が必要です。
また、信用保証料が繰延資産に該当する場合は、20万円未満であれば一括で損金算入できますが、前払費用に該当する場合はそのような取り扱いはありません。
それでは、その信用保証料について補助を受けた場合はどうなるでしょうか。
信用保証料の処理は原則通りで変わりありません。補助として入金があったものについては、その補助を受けた事業年度の益金とするのが原則的な処理であると考えられます。
しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の支援策の場合は、国が事業者に代わって信用保証料を信用保証協会に直接支払います。
そのため、全額補助を受ける(信用保証料の支払いも、その補助の入金もない)場合は信用保証料に関する処理は不要、半額の補助を受ける(信用保証料の半額を支払い、その補助の入金はない)場合は支払った信用保証料について原則的な処理をすることとなります。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
課税実務の現場では、その他の観点も含めて実態に即して判断されます。